アメリカで暮らしていると、一度は経験するかもしれない「パトカーに停められる」という悪夢。普段は安全運転を心がけている我々ですが、先日ロードトリップで訪れたユタ州で、人生初のスピード違反を切られてしまいました……!
今回は、その時のリアルな一部始終と、違反点数を消すための手続き、そして実際に違反で捕まった際の対応方法をお届けします。
(数字はあやふやな記憶なのでぼかして書いています。)
アメリカの田舎道でスピード違反
街の入り口は罠!?見落とした標識と静かな追跡
小さな街から小さな街へ、車のすれ違いもほとんどない広大な田舎道を走っていた夕暮れ時のこと。
もうすぐ次の街に入るというタイミングで、どうやら速度制限が段階的に厳しくなるエリアに入っていたようです。すっかり気が緩んでおり、制限速度が下がった標識を見落としてしまいました。
路肩にスピードメーターを設置して待機していたパトカーとすれ違い、パトカーがいるなあ、とのんきに思っていたのもつかの間。そのパトカーが動き出したのが見えました。
サイレン音が聞こえなかった(または小さかった)こともあり、最初は自分たちが追いかけられていることに気づきませんでした。自分たちが対象だと気づいてからも片側1車線だったこともあり「広い場所に出たら停めよう」としばらく走ってしまいました。
しばらくして安全な場所を見つけて停車すると、同じく停車をして近づいてくる警察官。開口一番、 「ランプが見えなかったのか!?」 とご立腹の様子。 後日調べてみると、アメリカではサイレンやライトに気づいたら速やかに右路肩に寄せて停止するのがルールであることが分かりました。
その場での手続きはいたってシンプル
さて、おそらくスピード違反で捕まってしまった我々。動揺しながらも、警察官の指示通りにレンタカーの契約書とテキサス州の運転免許証を提示しました。そのまま車内で待機するよう指示を受けます。警察官が戻ってくると、作成された書類を渡され、サインを求められました。
違反内容はやはりスピード違反とのこと。
違反金や今後の流れについて尋ねると、「ここ(現場)ではわからない。5日後に書類に書かれた裁判所のURLにアクセスできるようになるから、確認して2週間以内に支払うように。異議申し立てがある場合も裁判所に行うように」とのことでした。アメリカでは、警察官が交通違反通知を発行し、その後の処理を裁判所・司法機関のシステムで行うケースがあるそうです。サインした書類はあくまで違反通知を受け取ったことを認める書類で、罰則の内容やそもそも罪を認める認めない等はこれから裁判所とやり取りすることになるとのことでした。。

違反金はいくらなのか、免許証に影響はあるのか、等ひやひやの5日間を過ごしました。
5日後、サイトを確認してみると……
5日後、指定されたポータルサイトにアクセスすると、今回の罰金は200ドルでした。想定の範囲内です。
しかし、気になるのは「点数/違反回数」。 5日間の間に調べてわかったことは、アメリカでは州を跨いでも違反記録が共有される場合があり(Driver License Compact)、点数や違反回数がつくと免許停止となる可能性があること、そして自動車保険料が跳ね上がるということでした。
2026年現在のテキサス州では一般的なポイントシステム(違反の種類や重さごとにポイントが加算され一定基準を超えると免許停止処分がなされる)ではなく、違反回数によって免停が判断されます。たった一回の違反であればさして重要ではありませんが、うれしくはない1回です。
さらに気になるのが、自動車保険料への影響でした。交通違反が保険料にどう反映されるかは保険会社や州によって異なりますが、運転記録は保険料を決める要素の一つです。もともと安くはない保険料がさらに上がってしまうとすれば、それは大きな負担となります。
どうにか回避する方法はないか、そこで利用したのが、後ほど介する救済措置「Plea in Abeyance」です。
交通違反の際の対応3つ
そもそも、交通違反で捕まった場合の対応として選択できるのは基本的に以下の3つです。
- 違反金を支払う
- そのまま指示された金額を支払う。
- 違反ポイントなども受け入れることとなる。
- 無罪を主張する
- 内容に異議がある場合、裁判所に申し立てることができる
- 出廷なども必要となり、時間と手間がかかる
- スピード違反の場合は棄却されて終わりのケースが多い様子だった
- 執行猶予付きの救済措置を申し込む(Plea in Abeyance)
- 違反を一定期間保留にして、条件を守ることで最終的に違反点数/回数の加算を却下してもらう手続き
- 条件は、執行猶予期間を設ける、安全運転講習を受けるなど様々
- 裁判所へ問い合わせが必要
なお、未払いのまま放置すると違反金の延滞料金が加算されたり、免許停止処分が下されたりするようなので、初動は速やかに行う必要があります。
選んだのは違反回数を消すための救済措置「Plea in Abeyance」
当然違反回数の履歴はないに越したことはありません。なにより、いくらになるかわからない自動車保険料の値上がりに怯えながら過ごすのが嫌でした。そこで、Plea in Abeyanceについて問い合わせることに。裁判所から提示された条件は以下の通りでした。
- 費用: 250ドル(違反金込み)
- 条件: 「今後6ヶ月間、無違反で過ごすこと」
この条件をクリアすれば違反点数/回数がつかずに済むとのこと。ユタ州に講習を受けに行かなければならないなどの条件があれば悩むところでしたが、追加費用50ドルのみだったため迷わずこの手続きを選択しました。
裁判所から提示された書類にサインをし、お金を支払えばひとまず手続きは終了です。あとは6か月間無違反で過ごすだけ。
6か月後…
無事に執行猶予期間を満了。裁判所からの通知は特にありませんでした。しかし、自動車保険料は上がることなく更新できたので、適切に処理されたようです。この手続きはあくまで違反点数/回数を加算しないためのものであり、違反履歴が完全に抹消されるわけではありませんが十分です(違反そのものを抹消する手続きも存在するそうです)。

絶対に違反できないドキドキの6か月が無事に過ぎ安心しました。この経験を肝に銘じて、引き続き安全運転を心がけていきます。
【恐怖の後日談】冤罪未遂事件
ここで、この旅行で経験した、もう一つの忘れられない出来事をご紹介させてください。
最初のスピード違反の後にも続くロードトリップでは、極めて慎重に運転を続けました。しかし、小さな街の入り口付近には、やはりあちこちにパトカーが潜んでいます。そしてある夜、決定的な恐怖体験が襲いました。
街に入るタイミングで、パトカーが潜んでいるのが見えました。それとほぼ同時に、我が家をかなりの猛スピードで追い抜いていく1台の車が。
私たちはすでに減速していたため、「捕まるとしたらあの飛ばしている車だなあ」と安心してパトカーの前を通り過ぎました。
その瞬間、動き出すパトカー。赤と青のライトをピカピカさせながら、ぴったり我が家の真後ろを走行しています。
「えっ、まさかうち!?心当たりが本当にない……!」
1分以上、ピタリと背後に張り付かれる恐怖。「まさか同じ旅行で2回も捕まるなんて」「どうしよう」と、普段冷静な夫も動揺しているようでした。観念して路肩に寄せようとしたその瞬間……
パトカーはスッと車線を変え、猛スピードで前方の暗闇へ走り去っていきました。
おそらく、スピードメーターの写真や車体を照らし合わせ、車両間違いに気づいたのでしょう。真の標的は、我が家を追い抜いて行ったあの車だったのだと思います。生きた心地がしない数分間でした。

今思えばあまりに心当たりがないとはいえ後ろにつかれた段階で車を停めなければいけなかったのかも…動揺すると冷静な判断ができないものですね。反省。でもおかげで何事もなく切り抜けられたのでよかったです。
アメリカで警察官に捕まった時の注意と心得
アメリカでの運転中、赤と青のライトが見えたら焦らず冷静に対応しましょう。日本とは異なる重要ルールがいくつかあります。
- サイレン・ライトを確認したら「即座に」右路肩へ停車する
- 安全な場所を探して走り続けると「逃走」と誤解され、銃を構えられるなどのリスクが高まります。
- 車からは絶対に出ない・指示があるまで動かない
- 警察官が車に近づいてくるまで、運転席でおとなしく待ちます。勝手にドアを開けて出ると、攻撃の意図があるとみなされ非常に危険です。
- 両手はステアリング(ハンドル)の上に置いておく
- 警察官から見えやすいよう、両手はハンドルの10時2時の位置に置いて待機します。夜間の場合は車内灯をつけておくと安心です。
- 免許証や書類を取り出すときは「一言宣言」する
- ダッシュボードやポケットに手を伸ばす行為は「銃を取り出そうとしている」と誤解される恐れがあります。「グローブボックスから書類を取ります」と警察官に一声かけてから動きましょう。
- サインは「罪を認めること」ではない
- 渡されるチケットへのサインは「書類を受け取ったことの確認」であり、有罪を認めたことにはなりません。現場で警察官と議論るのは避け、反論がある場合は後日裁判所で行います。
- 他州での違反でも放置は厳禁!「点数回避」の相談をする
- 「旅行先だから」と放置すると逮捕状が出たり免許停止になります。また、今回のように裁判所に連絡すれば「Defensive Driving Course(講習受講)」や「Plea in Abeyance(一定期間無違反で免除)」など、保険料アップを防ぐ救済措置を案内してくれることが多いので、必ず確認しましょう。

田舎町の入り口の速度制限変更、スクールゾーンの速度制限(一般道より厳格)には十分気をつけてドライブを楽しんでいきましょう。


